「おたねにんじん」の力で疲れた身体を健やかに
にんじん湯 吹上荘
「おたねにんじん」の力で疲れた身体を健やかに
地元の栄養が染み出たにんじんの湯
名物は宿の名前にもなっている「にんじん湯」。特産品を活かしたいと考えた創業者が、「おたねにんじん(会津人参)」を湯につけるお風呂をつくったそうです。
宿のある新鶴地域では、古くから「おたねにんじん」の栽培をつづけてきました。土壌の養分をたっぷり吸収するので、収穫するまで4~6年かかる代物です。
ぽかぽかと身体の内側からあたたまり、にんじんの力で疲れもすっきり流れるお湯ですよ。
お料理の注文はなんでもござれ!
会津美里町産の食材を使い、季節に合わせたお料理を提供しています。ご近所の農家さんから野菜をいただくこともあるそうです。敷地内には栗の木があるので秋になったら自家製の栗ご飯を食べることができ、会津の郷土料理「鯉の旨煮」もつくっています。
料理のメニューは、お客さまの希望に合わせて変えているのだとか。「なんでもつくりますよ」と村山さんは笑顔でおっしゃっていました。
旅行で来た方には、会津ならではの食事やお酒を出すように心がけているそう。その土地を知るには、地元のものを食べるのが一番の近道かもしれませんね。
村山さんもお酒や食べ歩きが好きで、会津中を巡っていると教えてくださいました。和食の勉強もされていたため、お料理への思いはひとしおのようです。
まちの人々から愛される集いの場
「親戚の集まりで、地元を離れた方がお泊まりにくることが多いです。宴会や慶事、法事など、地元のお客さまにもご利用いただいています」
会津ではお祝い事や打ち上げなどを泊りがけで行う習慣があります。また「無尽」の会合から宿泊という流れもよくあるとお聞きしました。
「無尽」とは、会津に残る組合文化のこと。募った資金を積み立て、加盟者が順番に受け取る仕組みになっています。いまでは積み立てたお金を旅行や飲み会などで親睦を深めるために使うのが一般的。今治市(愛媛県)、甲府市(山梨県)でも続いているようです。
この独特な文化から、みんなで助け合い、困っていたら手を差し伸べる会津の人々の心を感じました。
布団を出てから入るまで、気兼ねなく過ごせる宿
「にんじん湯 吹上荘」の母屋は平屋造りで、少し離れた場所に別棟(宴会場)があります。高台の上にあるため、どの部屋からも会津盆地と背あぶり山を見渡せました。大きな窓は東側を向いているので、山から昇る朝日を浴びて気持ちよく起きられそうです。
また食事会場は朝・夕食ともに、グループごとにお部屋がわけられています。
「ゆっくりお食事を楽しんでもらいたくて、昔からこのスタイルなんです。人数に関係なく、1組1宴会場にしています」
おたねにんじんのお湯につかり、美味しいご飯を家族や友人といただく――のんびりとした旅の始まりと終わりを過ごせるのではないでしょうか。